2023.07.25 トットの森
動画はYouTubeで公開中です。
今回の話は、『結局のところ断熱材ってどれを選べばいいんだ?』という内容です。
断熱材には色々な種類があります。
工務店やハウスメーカーにいくと「うちの断熱材は羊の毛を使っています」、「うちは新聞紙で吸湿や防音効果がありますよ」とか、色々説明されて迷ってしまいします。
もう迷わなくても良いように、プロがお勧めする断熱材をズバリお教えします。
普通であれば、色々と内容を説明して『結果これが良いですよ』って順番になるのですが断熱材は複雑で分かりにくい。
今回の話は初心者向けなので、分かりやすいように結果から始めます。
説明も細かい数字とかは用いず『原理はこうですよ』ってふんわりと包んでいきたいと思います。
最後までお付き合いください。
一択じゃないんかい!?
タイトル詐欺!?サムネ詐欺か!?って言われそうですが、ちゃんと一択になりますので安心して下さい。
そこそこの性能で良いので安く抑えたいタイプの方はグラスウールです。
そこそこといっても断熱等級4。暮らしにはなんら支障のないレベルです。
性能はこのレベルで十分って方は、グラスウールを選択しましょう。
少しお金がかかっても良いから気密も断熱もワンランク上の性能が欲しいって方は、耐震に関してもワンランク上を求めると思います。
なので、フェノール樹脂系の断熱材を使用したパネル工法にしましょう。
タイプ別でこの1択ずつです。
実際の業務でもこのような進め方をしています。
あなたの求める家はどっちのタイプですか?
それで答えがでます!
『でもやっぱり理由が知りたい』ってなると思いますので、やんわ~り、ふんわ~り全体を包むようにお話していきます。
まずは断熱材の種類ですよね。
これは大きく分けて2つ、繊維系と発泡系です。
繊維系は細かい繊維を集めたモノで、例を挙げるとグラスウールやセルロースファイバーと言われる商品があります。
発砲系は樹脂を固めた発砲スチロールのようなもので、現場で吹き付けるウレタンフォームや板状になったフェノールフォームなどがあります。
ほかにもロックウールやビーズ法ポリスチレンとか本当に色々あります。
使われる素材によって色々と名前が変わるのですが、これからは気にしなくていいです。
吸湿・防臭・防音・耐火性など、色々言われると思いますが、気しないで下さい。
そもそも、構造的に室内の空気が壁内にいかないようにするのが、基本です。
水分は伝導率が高いので、吸湿なんてされたら断熱効果が下がってしまします。
室内の空気を壁内で調整する意味が分かりません。
室内の空気は室内で調整する方が、余程効率的です。
それに色々な種類の断熱材がありますが、その本質はどれも同じです。
商品を売るために、差別化をするために、色々と素材を変えていると思って良いです。
じゃその本質ってなんだ?
断熱材の本質とは『空気を如何にして捕まえておくか』ということなのです。
実は空気というのはとても優れた断熱材で、この空気をいかに固定して動かない状態で捕まえておくか、断熱材というはこれにつきます。
繊維系は、細かい繊維を集めることで空気の対流を防いで断熱効果を出す。
発砲系は、気泡の中に空気を閉じ込めて断熱効果を出します。
素材自体の断熱性能も多少は影響しますが、決してメインではない微々たる部分だということです。
断熱材は如何に空気を動かないように捕まえておくか、これが基本なのです。
なので、素材の違いや壁内での効果は気にしなくて良いですよってことです。
まずはこれを覚えておきましょう。
ペアガラスなども同じ考え方です。
ガラスとガラスの間に空気を閉じ込める、という発想から作られています。
現在では、空気より断熱性能の高い気体であるアルゴンガスやクリプトンガスなどが使われていますが、もとは空気を閉じ込めていました。
空気を動かなくするのが断熱の本質なのですが、実際にはこの考え方から逸脱したのが真空断熱材です。
何もなければ熱も伝わらないって考えのです。
そして断熱効果に関してはこの真空断熱材が最強なのですが、住宅用としては扱いにくく、メリットを活かせません。
普及していないので、除外していいです。
ちなみにこの断熱方法は、冷蔵庫とかで活躍しています。
ハウスメーカーや工務店を選ぶときは、あなたの断熱タイプで施工している業者さんで絞っても良いです。
先ほどもお話した通り、実際には断熱材の種類で多少の効果が変るかも知れません。
ですが、所詮は壁内での事です。
室内まで暮らしにまで影響するなんて、微々たる程度です。
新聞紙や羊の毛など変わった素材は、価格も高いです。
それならば、他の部分に予算を回した方が良いですよね。
防音に関しても同じです。
音は距離の二乗に反比例して減退します。
距離が離れるほど急激に減退するという訳です。
防音が必要な方向は大体一方向で、接道方向や騒音が発生している方向なのです。
四方がジェットコースターで囲われているお宅は別ですが、一般的には一方向です。
その方向に向けて間取りを工夫したり、防音対策を集中させる方が効果的です。
でも、なぜ繊維系はグラウウールで、発砲系はフェノール樹脂系を選んでいるのかと疑問を持つ方もおられるはずです。
それを説明すると小難しくなってしましますので、それは中級者向けに別で解説したいと思います。
難しい話はさておき、本質さえ知っていれば十分だと思います。
これであなたは断熱材選びの迷路から開放されたはずです!
次はそれぞれの注意点を解説します。
まずはグラスウールの注意点です。
グラスウールはふにゃふにゃと軟らかいので、すき間なくしっかりと固定する事が重要です。
これに関して難しい技術は一切必要ありません。
施工者の気づかい・丁寧さが結果に現れます。
丁寧にすき間なく敷きこんで、しっかりと固定してくれる業者さんを選びましょう。
若しくは前もって念押ししましょう!
フェノール樹脂系のパネル工法に関しては、パネルを工場で製作する都合上、開口部の位置を現場で変更する事が困難になります。
絶対に出来ない事ではないのですが、そうならないように設計の段階で、しっかりと開口部の位置を確認するようにしましょう。
特に、家具を置きたい場所やお風呂、トイレ窓のの高さや大きさなどしっかりチェックして下さい。
それではまとめです。
今回は、断熱材はこれを選べば間違いない!というお話でした。
覚えて頂きたい事は
この4つです。
動画では挿絵をつかって、さらに分かりやすく解説しています。
ぜひご覧ください。